リアルタイムは氷点下のモンゴルから30度のバンコクにやってきまして鼻水がとまりません、TABIKODOMOです。
さて、北京からの陸路移動の話の続き。
迎えの人「お金返してもらうべきだけど、俺が返してもらえって言ってるってことは言わんといてや」
なぜ。ますます怪しい。
個人的にはエレンホト行きでも別に乗り換えればいいだけだから、いい。
それよりあのガタイのよいドライバーAに、そのどちらでもない場所に連れてかれて放り出されるほうがアウト、これは厳しい。
220元の返金は期待せずに、でも、「行かないってほんとですか!?何故嘘を!?お金送金してくれ!!よろしく!」とドライバーAに送って、エレンホト行きのバスのチケットを買い直すことにした。
わたし「ちょっと迎えの人、今からエレンホト行きのバスのチケット買うから手伝ってくれない?」
迎えの人「よし、俺っちについてこいや」
エレンホト行きのバスチケットを買う
チケットカウンターに並んだ、バックパックを担いだ日本人の女と、タトゥーごりごりのおにいちゃん(サングラスとったら目が信じられないくらいつぶらだった)の俺っち。
迎えの人「エレンホト行きのチケット売ってくれや。すぐでるやつ。」
チケットカウンター「ちょ、あなたもうそれいっぱいだしもう出るやつだからムリよ。」
迎えの人、ものすごい文句みたいなのをシャウト。
それなら直接乗り場に行って交渉してやるわ俺っちが、と迎えの人はぐいぐい乗り場に進んでいく。
迎えの人「ちょっとこの女乗せてやってくんね。」
乗り場の人「はぁ、あんた何言っちゃってんの、チケットなくて乗せるわけないでしょ。まじムリ。」
迎えの人、シャウトアゲイン。
続いて総合受付カウンターにも頼みこんでいたが、あんたいいかげんにしなさいよそんなのムリに決まってるじゃない、てきなことを言われてシャウトアゲインアゲイン。
迎えの人「っしゃ、こうなったら奥の手やわ。俺っちについてこい」
この俺っちは多分焦っていた。自分が今日はザミンウードに行かないと伝えたことにより、この女がどこ行きのバスにも乗れずお金はとられ、北京残留してしまうかもしれない。俺っち、ピンチやんけ。みたいな。
迎えの人はバスターミナルの裏口をくぐり、ぐいぐいと奥に進んでいく、たどり着いた先は、出発準備をしているバスがたくさん停まっている場所だった。
迎えの人「ちょっと悪いけどこいつのせてやってくり。お金ここで今払うからよ」
ドライバーB「おーなになに、なんかよくわかんねーけど、いいよ、180元だよ」
180元をドライバーBに手渡す。でも、やっぱりチケットはもらえない。
迎えの人「このドライバーBについていけよ、絶対大丈夫だから。なんかあったら俺っちに連絡してこいな、あとはがんばれよ!」
迎えの人はそのつぶらな瞳でウインクして、満足げに去って行った。
チケットがないせいで不安が消えない
普通なら絶対に入れないであろうエリアで、エレンホト行きのバスにぎゅうぎゅうに荷物が詰められていく様子を見学しているわたしは、ドライバーBから目を離さなかった。
荷詰めがおわり、いよいよターミナルに待つお客さんを乗せるためにバスをまわすらしい。ドライバーBにはい乗って乗って、と言われて乗った。
ら、ドライバーCが運転してる。ドライバーBいなくなった。ヤバイ。
しかも座席には番号がついている。これは絶対みんなチケットに座席番号が印字されているやつで、番号がないわたしは絶対に「あのここわたしの席なんですけど」って言われるやつだ。
ほら、やっぱり怒られる
乗り場にバスがついた。客がどんどん乗ってくる。
客①「あのここわたしの席なんですけど」
客②「あのここ、わたしの席…」
ほら。やっぱり。これ絶対もうダメなやつだ。
バス会社の人「おめーチケットみせろよ。なんで乗ってんだ?は?チケットがない?おりろやてめーなに乗ってんだよあぁ!?」
わたし「でもドライバーBに払ってるから!わたし降りないよ!払ってるから!!!(しかも2回分も)」
バス会社の人「払った払ったとかいってチケットねーと意味ねーんだよ、はやくいいから降りろやてめー」
大勢の客の視線を感じながら、ものすごい怒鳴られてバスから引きずり降ろされた。あぁもう絶対終わったこれは。
ちなみにこの会話は翻訳どころでない、中国語と日本語でやりあってる。
ドライバーB、現る
降りて、わたしの荷物このバスの下に入ってるんだけど一体どうすれば…と思っていると、いた、ドライバーBが、すぐそこに。
ドライバーBもこちらをみた瞬間に、あ、こっちきてこっちみたいに手招きしているではないか。そう、だってわたしあなたにお金払ってますからね。
ドライバーB「なんかこっちのバスはいっぱいらしいからもう一個のバスに乗ったらええわ。荷物だしちゃるからな、よし、これもってついてこい」
と歩き始めた瞬間に、他の人が一枚黄色い紙を持ってきた。
バスの座席チケットだ
ドライバーB「あれ、なんや、やっぱり今のバスでよかったんか。ほれ、この番号の席だぞ?ほれ乗って!」
荷物を再び積んで、同じバスに乗り込んだ。チケットと共に。
これは、、、勝ったかもしれない。。。
(あれこの人さっき引きずり降ろされてた子なのにまた乗ってきたワ)みたいな乗客のざわつきなんてもう気にならなかった。
wechatをみてみると、ドライバーAから連絡がはいっていた。
ドライバーAのwechat「バスはエレンホトまでしかいかないけど、個人的に用事があるから車で連れて行ってあげるつもりだったんだよ、嘘ついてたわけじゃないから。。返金したいけど、この人にお金渡したから、探してもらっていい?」
とバス会社の人のwechatの連絡先が送られてきた。
バス会社の人のwechat「あなた返金して欲しい人ですね?いくら彼(ドライバーA)にはらったんですか?」
もうまじで誰?という感じではあったが、お金が返ってくるなら諦めたくない。でもお金をもらいにこのせっかく乗れたバスから一度も降りたくない。
わたし「220元です。」
バス会社の人のwechat「この写真の人に送金したので、この人を探してお金をもらってください」
おじさんの写真が送られてきた。まじ誰やねん。
バス会社の人のwechat「この人は今日エレンホトにいくバスのボスです。」
その瞬間、バスは出発した。
俺っちの粋なはからい
バスのボスなら休憩やエレンホトに着いたときに探せるかもしれない。もしかしたら本当にお金が(ドライバーAから随分と人を経由して)返ってくるかもしれない。これは、形勢逆転の予感がしてきた。
迎えの人のwechat「よぅ、バス乗れたかい?お金はどうなった?てかお腹すいてる?」
わたし「バスなんとか乗れた、ありがと。お金はバスのボスっていう人がもっているらしいからあとで探すわ。お腹はだいぶすいてるわ(てか疲れた)」
迎えの人のwechat「おお、そうかよかったな!22時ごろに一回休憩あるんだけど、そんときお前がご飯食べられるように、俺っちがドライバーに連絡しといてやるよ。お金いらねぇからヨ!」
わたし「まじ?なんかよくわかんないけど、ありがと!心遣いに感謝!」
迎えの人のwechat「いいってもんよ。てかもう俺っちとお前はフレンドだ。次北京にきたときは飯いこうな。つーか、暇な時連絡していい?名前なんていうの?おお、いい名前じゃねぇか。日本いったら探すぜ。」
ちゃっかりさんがここにもいた。
バスは本当に22時に休憩所に到着した。するとドライバーDがわたしの肩を掴んだ。
ドライバーD「お、いたいたおめぇダナ!おら、飯くうぞ!」
俺っち、すげぇ笑
ドライバーたちが集まる部屋みたいなところに連れていかれると、ドライバーDが次から次へとご飯をもってきた。
ドライバーD「ほら食え食え!腹へってんだろ?これから長旅だからな!たくさん食いな!」
わたしはこの謎の展開にかなり笑いをこらえながら、なんどもお礼を言ってめっちゃ食べた。
バスのボスは見当たらなかったけれど、そうして再びバスは出発したのだった。
つづく。